彼女の才能を世界へ示し、照明表現の幅を大きく広げた転換点が、是枝裕和監督による名作『海街diary』だ。フジテレビや東宝が手掛けた同作において、湘南の豊かな自然光と室内光が美しく交錯する中、四女・すず役を演じた彼女の鮮烈な輝きは、日本中を魅了した。
さらに時を経て、映画『流浪の月』では李相日監督のもと、影を多用した重厚なライティングに挑んだ。複雑なトラウマを抱えた主人公の心情を表すため、照明陣はあえて彼女の顔半分を暗闇に沈めるようなコントラストの強いライティングを採用。過飾を削ぎ落とした暗がりの中で、彼女の瞳だけがかすかな光を捉えて揺れる。ヒューマンドラマにおける映画照明の可能性を限界まで押し広げたこのアプローチは、彼女の役者としての覚醒を象徴する作品となった。