都はるみがコンサート活動の休止を発表したのは2015年末のことだった。翌2016年以降、彼女は一切のメディア露出を断ち、事実上の引退状態へと入る。当時の関係者は「声を維持するための極限の緊張感から解放されたい」という本人の強い希望があったと証言する。
10代でデビューして以来、半世紀以上にわたって全精力を歌に捧げてきた。命を削るようなあの特有の「うなり」と繊細な表現力は、並大抵の精神力で維持できるものではない。第一線を退くという決断は、自らの音楽に対してどこまでも誠実であり続行した結果の美学だったといえる。