太神楽は元来、神社に参拝できない人々のために家々を訪れ、悪魔祓いや招福の祈祷として披露されていた神聖な芸だ。海老一染之助・染太郎の芸には、その古来からの「ハレの日の祈り」が色濃く残っていた。正月という特別な節目に、人々の厄を払い、新しい年の幸福を願う。彼らの芸は、娯楽であると同時に、日本人が共同体として共有していた「めでたさ」の儀礼的装置でもあったのだ。
テレビ特番の多様化や寄席文化の変化に伴い、こうした「ストレートにめでたい芸」を披露する演者は激減した。しかし、だからこそ彼らが遺した映像資産は、日本の演芸史における貴重な文化資源として再評価が進んでいる。単なる懐古趣味にとどまらず、伝統芸能が現代エンタメとどのように融合すべきかを示す歴史的知見として、研究者や若手芸人たちの間で分析が続けられている。