黒板五郎を演じた故・田中邦衛との掛け合いは、このドラマの骨格と言っても過言ではない。口数が少なく、不器用を絵に描いたような五郎と、都会の洗練された言葉を持つ雪子。
二人が丸太小屋の囲炉裏端でお茶を飲みながら交わす会話には、言葉以上の情念が通い合っていた。五郎の無骨な優しさに触れ、雪子の頑なな心が少しずつ溶けていく過程。田中邦衛の圧倒的な存在感を受け止め、引き立て、そして自らも光を放った竹下景子の受けの芝居は、日本のテレビドラマ史における屈指のアンサンブルである。
不朽の名作と呼ばれる裏には、演者同士の深い信頼と、現場で培われた濃密な時間が確かに存在していた。