日本全国で数万件規模で開催される祭りの中でも、別格の格式と規模を誇るのが日本三大夏祭り 歴史に名を連ねる「京都・祇園祭」「大阪・天神祭」「東京・神田祭(または青森ねぶた祭)」です。これらがなぜ過酷な猛暑期に執り行われるのか、その夏祭り 由来 意味を紐解くと、古代・中世の日本人が抱いていた切実な危機意識と信仰の姿が浮かび上がってきます。
民俗学の知見によれば、日本の夏祭りの本質は「怨霊鎮魂」と「疫病退散」にあります。冷房や現代医学が存在しなかった時代、湿度の高い日本の夏はチフスやコレラ、赤痢などの感染症が猛威を振るい、台風や水害といった自然災害が農作物を脅かす最も過酷な季節でした。当時の人々は、非業の死を遂げた人物の怨霊や悪霊が疫神となり、災厄をもたらしていると信じたのです。
平安時代前期の869年(貞観11年)、全国規模の疫病流行を鎮めるために催された御霊会(ごりょうえ)を起源とする祇園祭をはじめ、菅原道真公の御霊を慰めるために始まった天神祭など、壮麗な山鉾や神輿の巡行は、街中の穢れや悪霊を吸着させ、川や海へ流し去るための厳粛な浄化儀礼でした。現代において私たちが夜空を見上げ、屋台の明かりに心躍らせる瞬間は、何世代にもわたる先人たちの「命を繋ぐ祈り」の延長線上にあるといえます。