本物の味を決定づける最後のピース、それが花椒(ホアジャオ)だ。唐辛子のストレートな辛さ(辣)に対し、舌が心地よく痺れる感覚(麻)をもたらすこの香辛料こそが、陳建一の真骨頂である。
鉄人は常々「花椒はケチらず、仕上げに挽きたてを振るのが一番贅沢」と語っていた。火を止める直前、高温の油によって香りを一気に爆発させ、仕上げに惜しみなく振りかける。鼻腔をくすぐる柑橘のような爽やかな香りと、奥深い痺れ。口に入れた瞬間に広がる重厚な旨味と、後から追いかけてくる鮮烈な辛味のレイヤーは、まさに芸術の域に達している。