地上波中止の発表直後、主役である那須川天心と武尊の両選手が見せた反応は、興行ビジネスの都合に振り回されるアスリートの純粋な葛藤そのものでした。
武尊選手は自身のSNSで「地上波でやらないなら意味がない。子供たちに夢を与えたかった」とストレートな悔しさを吐露。当時の特番インタビューや自著・手記でも「自分たちが子供の頃にK-1やPRIDEをテレビで見て夢を抱いたように、普段格闘技を見ない家庭の子供たちにこの試合を見てほしかった。お金やファイトマネーの問題ではない」と公の場で語り、その無念さは多くのファンの胸を打ちました。
那須川天心選手もまた「正直めちゃくちゃ悔しい。でも自分ができることはリングで最高のパフォーマンスを見せるだけ」と前を向きつつも、複雑な表情を隠せませんでした。
この事態に対し、当時のネットの反応は大きく二分されました。SNSや掲示板では「地上波で見られないのはあまりに残念」「フジテレビの直前逃げ出しは無責任すぎる」という落胆と怒りの声が溢れる一方で、「今の時代にこれだけの興行を地上波の広告モデルで賄うのは無理」「数千円を払ってでも完全ノーカット・CMなしで見られるABEMAを支持する」という現実的な意見も多数投稿され、日本のエンタメ視聴スタイルの過渡期を象徴する大論争となりました。