アイドルという型にはめられることを嫌い、沖田浩之は本格派の役者へと舵を切った。舞台『ロミオとジュリエット』での演技、蜷川幸雄らの演出家との出会い。彼は自らの内面にある鬱屈や孤独を、すべて演技のエネルギーへと変換しようともがいていた。
山本陽子との時間は、彼の演技論や芸術観に多大な影響を与えたとされる。単なるアイドルタレントから、人間の業を表現できる俳優へ。しかし、彼の繊細すぎる魂と家族をめぐる複雑な運命の糸は、後年、あまりにも早い36歳という年齢での悲劇的な別れへと繋がっていく。彼が駆け抜けた短くも強烈な人生の背景には、常に「表現者としての純粋すぎる誠実さ」が存在していた。