大森家の家族構成を整理すると、父・麿赤兒、母・桃枝さん、長男・大森立嗣(映画監督)、次男・大森南朋という4人家族でした(大森南朋自身は2012年に女優の小野ゆり子と結婚し、現在は一児の父)。
しかし、その生い立ちは決して平坦なエリート芸能一家の歩みではありませんでした。大森南朋が幼少期の頃に両親は離婚。南朋と立嗣の兄弟は母親の手ひとつで育てられました。当時の父親像について、大森南朋は過去のテレビインタビューや対談で次のように率直な心境を明かしています。
「物心ついた頃、父親の仕事を見に行くと、全身白塗りの大男たちが叫びながら踊っていた。幼い自分にとっては恐怖でしかなく、学校の友達にも父親の職業をうまく説明できなかった」
思春期には父親の特異な存在感に反発し、あえて役者の道を避けてミュージシャンを目指し、バンド活動やアルバイトに明け暮れる日々を過ごしていました。しかし20代半ばを過ぎ、表現の世界で生きていく覚悟を決めたとき、自ら選んだのが父親と同じ「演技の道」でした。偉大な父親の影に縛られることなく、あえて遠回りをして自らの足で道を切り拓いたプロセスこそが、現在の大森南朋の地に足の着いた演技の根底にあります。