松本明子のタレント生命を揺るがす最大の事件が起きたのは、デビュー翌年の1984年のことだ。生放送番組『TV海賊チャンネル』(ニッポン放送・フジテレビ系)のコーナー中、共演者からの唆しに乗る形で、放送禁止用語を大声で叫んでしまったのだ。
生放送の現場は静まり返り、番組は即座に中断。事態を重く見た局と事務所は、彼女に対して即座に全メディアへの出演停止処分を下した。当時18歳。アイドルとしてこれからという時期に、彼女は一瞬にしてテレビ画面から消し去られたのである。
その後の約2年間は、まさに暗黒の冬の時代だった。事務所の部屋掃除や電話番、地方のドサ回りなどをこなしながら、世間からの激しいバッシングに耐え忍ぶ日々。「もう二度とテレビには戻れないかもしれない」という絶望が、彼女の肩に重くのしかかっていた。しかし、この底知れぬ挫折こそが、後に彼女を「無敵のタレント」へと脱皮させる鍛錬の場となったのである。