耳の穴は普段、自浄作用によって清潔が保たれており、無臭に近い状態が正常です。それにもかかわらず、指で触れた際やイヤホンを外した瞬間に異臭を感じる場合、外耳道(耳の穴から鼓膜までの通り道)の内部で細菌の異常繁殖や分泌物の変質が起きています。
悪臭の正体を探る上で、まず見極めるべきは「どのような臭いがしているか」です。臨床現場において報告される臭いのタイプは、大きく以下の3パターンに分かれます。
1つ目は、耳の中 チーズの臭いや古い靴下のような酸っぱい刺激臭です。これは皮脂腺から分泌された脂分が常在菌によって分解・酸化された臭いか、あるいは粉瘤(アテローム)と呼ばれる良性腫瘍の内部に老廃物がたまり、袋が破れて漏れ出しているケースで頻発します。特に耳の穴周辺に小さなしこりがある場合、耳の中 粉瘤 臭いの典型例として独特の強いチーズ臭を放ちます。
2つ目は、生ゴミや腐敗物を連想させる強い生臭さ・ツンとした刺激臭です。この場合、皮膚に炎症が起きる外耳道炎 原因菌である黄色ブドウ球菌や緑膿菌が増殖しているか、鼓膜の奥で炎症を起こす中耳炎 耳だれ 悪臭の疑いが生じます。緑膿菌に感染すると、わずかに甘酸っぱさを帯びた独特の腐敗臭が漂うのが特徴です。
3つ目は、カビ臭い古本や湿った地下室のような埃っぽい臭いです。これは耳の中にカビが巣食う外耳道真菌症 カビ(アスペルギルスやカンジダなど)の典型的な兆候であり、一度繁殖すると市販の抗菌薬では太刀打ちできません。
また、体質的な要因も見逃せません。日本人の約16%に該当するアメ状の耳垢を持つ体質(湿性耳垢)の人は、耳の中にアポクリン汗腺が多く分布しています。この耳垢 湿性 ワキガの関連性は医学的・遺伝学的(ABCC11遺伝子の解析)にも明確に証明されており、汗に含まれるタンパク質や脂質が皮膚常在菌に分解されることで、特有の強い臭気を生み出す土台となります。