彼女の強靭な基礎体力を築いたのは、間違いなく日本放送協会(NHK)での濃密なキャリアだ。沖縄、福岡という地方局での経験を経て東京アナウンス室へとステップアップした経歴は、全国各地の多様な風土と生活者に寄り添う姿勢を育んだ。スタジオの予定調和に頼らず、現場で起きるハプニングを瞬時に魅力的なリポートへ変換する瞬発力は、この時代に培われたものだ。
当時から異彩を放っていたのが、古典芸能である落語への並々ならぬ情熱だった。自ら高座に上がり、プロの落語家に弟子入りして稽古を重ねるアナウンサーの登場は、堅いイメージのあった公共放送の現場に新鮮な風を吹き込んだ。声の抑揚、間(ま)の取り方、聞き手の感情を揺さぶる緩急。これらはすべて、現在の卓越したトークスキルの土台となっている。