本作最大の核心であり、長年ファンの間で論争の的となってきたのが「ともだち」の正体です。結論から言えば、映画版において「ともだち」を名乗った人物は2人存在します。1人目はケンヂたちの同級生である「フクベエ(服部哲也)」、そして第2章終盤で暗殺されたフクベエの跡を継ぎ、第3章で世界を支配した2人目の正体が「勝間田(カツマタ君)」です。
原作漫画『20世紀少年』および完結編『21世紀少年』では、カツマタの素顔や存在理由が読者の解釈に委ねられる抽象的な結末を迎え、連載終了時には激しい賛否両論を呼びました。しかし、原作者の浦沢直樹自身が脚本執筆に深く関わった劇場版では、「映画という尺の中で観客に明確なカタルシスを提供する」という方針のもと、映画版独自のオリジナル結末が再構築されました。
決定的な違いは、第3章ラストにおけるヴァーチャルアトラクション内での対峙シーンです。ケンヂは中学生時代の勝間田と対面し、かつて駄菓子屋「ジジババ」で起きた「宇宙特捜隊バッジの万引き冤罪事件」の真相を告白します。実際にはケンヂが無意識にポケットへ入れてしまったバッジの罪を着せられ、いじめと絶望の中で「死んだ人間」として扱われた勝間田に対し、ケンヂは涙ながらに謝罪します。この映画オリジナルの対話によって、勝間田の抱えていた空虚な復讐心と「世界を終わらせる悪夢」に明確な終止符が打たれたのです。