年間数百億円のキャッシュと数兆円の資産を手にした人物は、その富をどこへ向けているのでしょうか。孫社長の資金使途を追跡すると、個人の贅沢な消費ではなく、社会への巨大な富の還元と未来テクノロジーへの再投下という2つの明確なベクトルが浮かび上がります。
象徴的な出来事が、2011年の東日本大震災直後に表明された個人寄付です。孫社長は個人資産から現金100億円を義援金として寄付しただけでなく、自らが引退するまでのソフトバンクグループからの役員報酬全額を震災孤児支援などのために寄付し続けることを公表しました。単発のパフォーマンスではなく、制度として長期間にわたり資金を拠出し続けるスキームは、当時の経済界に大きな衝撃を与えました。
さらに2016年には、高い志と異能を持つ若者を支援するための「一般財団法人 孫正義育英財団」を設立。返済義務のない奨学金や研究開発施設を提供し、次世代のイノベーター育成に私財を投じ続けています。
「お金を墓場まで持っていくことはできない」「情報革命を通じて人々を幸せにしたい」という自著や手記で繰り返されてきた言葉どおり、彼にとっての富とは個人的な消費財ではなく、自らのビジョンを実現するための「エネルギー(燃料)」としての意味合いが極めて強いことが分かります。