編集部が実施した未就学児の保護者への聞き取り調査や、大手育児掲示板の投稿データを徹底分析すると、焦りから早期デビューを選んだ家庭が直面した生々しい後悔が浮き彫りになる。
「2歳の誕生日に祖父母から可愛い箸をプレゼントされ、本人が喜んだのでリング付き箸を毎日使わせた。3歳半で普通箸を持たせようとしたら、親指を人差し指の内側に巻き込む極端なクロス箸になってしまい、物を挟むことすらできなかった。箸を持つたびに注意して怒ってしまい、子供が食事中に大泣きしてスプーンに戻すことも拒否。結局、小学校に上がる直前まで親子でノイローゼ寸前になりながら矯正器具を使う羽目になった」(東京都・5歳児の母の手記より)
一方で、意図的に開始時期を遅らせた家庭からは、驚くほど肯定的な声が目立つ。
「周りが2歳代でトレーニング箸を自慢していて焦りはあったが、かかりつけの小児科医から『手がしっかりする年中まで待ちなさい』と諭された。保育園でも年中の秋までスプーンの三点持ちを徹底。4歳8ヶ月になったある日、本人が『お箸使いたい』と言ったので普通箸を渡したところ、わずか2〜3日で大人が教えなくても自然と正しい持ち方で使いこなした。あの数年間の焦りは一体何だったのかと思う」(神奈川県・小学1年生の父の手記より)
発達の土台が整っていれば、子供は驚くほど短期間で正しい操作を自己学習する。逆に、未熟な段階での強要は、子供のプライドを傷つけ、修正に何倍もの時間と労力を浪費させるという現実が、数々の現場証言から裏付けられている。