本作のプロットが傑出している理由は、散りばめられた悪意の欠片を最終的に「生きている人間の救い」へと昇華させる脚本と演出の巧緻さにある。
野木亜紀子は、第1話から何気なく提示されていたキーワードや解剖データの矛盾を最終回に向けて緻密に編み上げた。法医学は死者を生き返らせることはできないが、残された未来を生きる人々の絶望を照らすことはできる。その哲学が一貫してすべての事件の根底に流れている。
塚原あゆ子によるスピーディーかつ陰影に富んだ映像美と、米津玄師による主題歌「Lemon」が流れる絶妙なタイミング。犯人の動機を過剰に美化せず、かといって単なるモンスターとして切り捨てない絶妙な距離感が、本作を唯一無二のサスペンスへと押し上げた。