実際にケーススタディに取り組むビジネスパーソンや看護師の生の声を取材すると、共通する大きな壁が浮き彫りになります。
都内のIT企業で人事育成を担当するリーダーは、次のように語ります。
「新任マネージャー向けにケーススタディ研修を実施しても、提出されるレポートの半数以上が『出来事の時系列まとめ』で終わってしまいます。『なぜその事象が起きたのか』『自社に応用できる教訓は何か』という分析が抜け落ち、単なる感想文になってしまうのが現場の最大の悩みです」
また、総合病院で3年目の看護研究を担当する看護師の手記には、次のような切実な吐露が記録されています。
「日々の受け持ち患者さんのケアに追われる中、ケーススタディのテーマ決め方で何週間も立ち止まってしまいました。『珍しい症例でなければならない』と思い込んでいましたが、先輩から『日常の看護ケアで抱いた疑問や、小さな改善のプロセスこそが最も価値のある事例になる』と指摘され、ようやく視界が開けました」
SNSや職場のコミュニティでも、「データが足りず客観的な考察が書けない」「主観的な意見ばかりになってしまい上司から差し戻された」という投稿が散見されます。ケーススタディで成果を出すためには、個人の感覚に頼るのではなく、標準化された手順とフレームワークの導入が不可欠です。