近年の物価高騰に伴い、食費を抑えながら大量におでんを作る層から支持を集めているのが「業務スーパー」の冷凍牛すじ(メンブレンや冷凍牛すじスライス)です。しかし、一般的な精肉店の生すじ肉とは性質が大きく異なるため、扱いには独自の工夫が求められます。
業務スーパー牛すじ(メンブレン・ハカマ)の攻略法
業務スーパーで定番の「メンブレン」は、牛のハラミ周囲にある横隔膜の筋(ハカマ)です。アキレス腱周囲のすじ肉に比べて脂質が少なく淡白で、非常に強靭な結合組織を持っています。
- 解凍は冷蔵庫で半日:ドリップの流出を防ぐため、電子レンジ解凍ではなく冷蔵庫内での緩慢解凍を行います。
- 下茹では長めに設定:メンブレンは熱を通してもゼラチン化に時間がかかるため、普通鍋なら最低でも2時間、圧力鍋なら25分以上の加圧が必要です。
- 隠し包丁を入れる:繊維が網目状で噛み切りにくいため、串に刺す前に肉の表面へ格子状の浅い切れ込み(隠し包丁)を入れておくと、驚くほど歯切れが良くなります。
おでんの中で牛すじが「固くなってしまった」時の戻し方
「下茹で段階では柔らかかったのに、おでん汁に入れて煮込んだら急に固く締まってしまった」というトラブルは非常に多く見られます。これは、高濃度の塩分や醤油による浸透圧ショックで肉の水分が急激に抜けて硬化することが原因です。
もし固くなってしまった場合は、おでん鍋から牛すじ串を取り出し、小鍋に「酒と水(1:1)」を張って弱火で20〜30分間じっくり蒸し煮にするか、微量の重曹(水500mlに対し小さじ1/4程度)を加えたぬるま湯で再加熱してください。アルカリ性の環境とアルコールの保水作用により、凝固したタンパク質が再び緩み、ふっくらとした柔らかさを取り戻すことができます。