SNS上などで毎年正月に話題をさらうのが、「浅草寺でおみくじを引いたら凶が出た」という大量の投稿です。実際に東京都台東区の浅草寺(金龍山浅草寺)では、凶が出る確率が極めて高いことで知られています。これには歴史的・教理的な明確な根拠が存在します。
浅草寺のおみくじは、平安時代の比叡山延暦寺の僧侶・良源(元三慈恵大師)が創始したとされる「元三大師百籤(がんざんだいしひゃくせん)」の伝統を厳格に継承しています。この百籤の配分比率は、全100本のうち「大吉17本、吉35本、小吉4本、半吉5本、末吉6本、末小吉3本、凶30本」と定められており、実に全体の30%が凶という設計になっています。現代の多くの観光神社が参拝者の満足度を優先し、凶の割合を意図的に減らしたり撤廃したりするなか、浅草寺は「観音様のお告げを偽りなく伝える」という信仰上の誠実さから、比率の改変を一切行っていません。
一方で、全国の神社の約7割におみくじを卸しているとされる山口県周南市の「女子道社」などが提供する一般的な神社のおみくじでは、凶の排出率は著しく抑えられています。参拝者が新年の意欲を失わないよう配慮され、凶の確率は5%未満、あるいは初詣期間中のみ凶をすべて抜く運用を採用している社寺も実在します。