日本ミステリ界で最も権威ある登竜門とされる江戸川乱歩賞において、荒木氏の受賞はまさに歴史的事件でした。これまでの最年少記録を塗り替える23歳での第68回受賞は、単なる話題先行ではなく、提出された原稿の完成度の高さが選考委員を満場一致で唸らせた結果です。
受賞作『此の世の果ての殺人』は、「小惑星テロが約2カ月後に地球へ衝突し、人類が滅亡する」というディストピア極限状況を舞台に設定。法も秩序も崩壊しかけた世界で、自動車教習所に通う女性主人公と教官が、突如発見された女性の変死体の謎に挑むという異色の本格推理劇です。
選考会において選考委員らが口を揃えて称賛したのが、「世界の終わりという強烈なシチュエーションでありながら、謎解きの手続きが極めて正統派かつ論理的である点」でした。荒廃した世界観のリアリティ描写と、緻密に積み上げられた伏線回収の爽快感が完璧な黄金比で成立しており、「新時代の本格ミステリの誕生」として満票に近い支持を集めました。