設定を見直しても改善しない場合、内部パーツの物理的な経年劣化や破損を疑う段階に入ります。液晶ディスプレイは、カラーフィルターを備えた液晶素子そのものが発光するわけではなく、背面に配置されたLED光源(バックライト)が光を透過させることで映像を成立させています。このバックライト周辺にトラブルが起きると、独特の症状が現れます。
代表的なバックライト故障の症状として挙げられるのが、画面全体の光量が極端に低下する現象に加え、画面のチラつき、あるいは電源を入れて数分経つとプツンと画面だけが消える現象です。LED素子そのものが断線・ショートしている場合や、LEDを光らせるための電圧を制御する「LEDドライバ基板」のコンデンサが経年劣化で熱破壊を起こしている場合に発生します。
また、修理相談で特に目立つのが「画面の半分だけが黒いカーテンを引いたように暗い」という現象です。テレビ画面が半分暗い理由は、テレビに採用されているLEDの配置構造と給電系統にあります。液晶テレビには、画面の端にLEDを配置して導光板で光を拡散させる「エッジ型」と、画面背面にLEDを格子状に並べる「直下型」が存在します。現在のテレビは大型化に伴い、LEDを左右または上下のブロックに分けて独立した回路で制御しています。このうち片側のLEDバーへの給電ラインが断線したり、ドライバICの特定チャンネルが焼き切れたりすると、上半分または下半分、あるいは左右のどちらか一方だけへの光供給が完全に遮断され、くっきりと明暗が分かれる怪奇現象のような画面を作り出してしまうのです。
こうしたトラブルの根底にあるのが、液晶テレビの寿命と前兆です。一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の基準や各家電メーカーの設計指針において、液晶テレビのバックライト寿命はおおむね約30,000〜60,000時間と規定されています。1日8時間使用した場合、約7〜10年で設計上の想定限界に到達します。寿命を迎える前兆として、「起動した直後だけ画面が暗く、10分ほど経つと徐々に明るくなる」「画面の四隅が以前より薄暗く影になっている」「白バックの映像のときに全体が青紫色や黄色っぽく濁って見える」といった兆候が現れ始めます。青紫色に見える現象は、LED蛍光体の劣化によって青色光がダイレクトに漏れ出している典型例であり、完全消灯までの秒読み段階に入っているシグナルです。