雪の降る朝、SNS上では「もう家を出てしまった」「大学に着いた瞬間に休講通知が届いた」といった学生の悲鳴に近い投稿が散見されます。なぜ大学側の公式発表は午前6時30分や7時といったギリギリの時間帯になりがちなのでしょうか。そこには大学運営特有の複雑な意思決定プロセスが存在します。
第一の理由は、公共交通機関の最終運行可否判断とのタイムラグです。JR東日本盛岡支社やIGRいわて銀河鉄道、岩手県交通などの各社が早朝の線路点検や除雪状況を踏まえて始発の運行・運休を正式決定するのが早朝5時台から6時頃です。大学の災害対策本部や教務委員会は、これらの運行状況と気象庁の最新メッシュ予報を突き合わせてから緊急会議を開くため、どうしても発表が6時台後半へとずれ込みます。
第二の理由は、大学設置基準に基づく正規授業時間(15回)の確保義務です。安易に全学休講を決定してしまうと、学事暦の後半に補講日を過密に詰め込まざるを得ず、教育実習や学会発表、定期試験スケジュールに甚大な玉突き事故を引き起こします。大学執行部としては「可能であれば通常通り実施したい」という教育的要請と、「通学時の安全配慮義務」との間でギリギリまで天秤にかけているのが実情です。
現場取材や学生コミュニティの声を検証すると、盛岡市内の徒歩・自転車圏に住む下宿生と、滝沢市、矢巾町、花巻市、北上市などから電車・バスで長距離通学する学生との間で「危険度に対する体感ギャップ」が生じやすいことも、不満が噴出しやすい構造的要因となっています。