物語の始まりは昭和20年代後半に遡る。創業者の五十嵐一男氏が、あるハリウッド映画で女優が豪快に鶏もも肉にかぶりつく姿を目にしたことがすべてのきっかけだった。そのワイルドで魅力的な食べ方を日本でも再現できないか——そんな閃きから、株式会社一鶴の歴史が動き出す。
当時の日本では、鶏肉料理といえば細かく刻んで煮込むか、焼き鳥のように串に刺して食べるのが一般的だった。しかし、一鶴は骨付き肉をそのまま丸ごと特注の窯で焼き上げるという斬新な手法を採用。皮はパリッと香ばしく、中はふっくらジューシーに仕上げる独特の焼き加減を完成させた。こうして生まれた香川県丸亀市発祥の骨付鳥は、半世紀以上の時を経て讃岐ご当地グルメを代表する存在へと上り詰めたのだ。