南部虎弾さんの代名詞といえば、サソリを口に入れる、ドライアイスを食べる、頭に缶を吸着させるなど、人間の限界に挑む危険な芸でした。しかし、その輝かしいステージの裏側には、40代から始まった重度の糖尿病との戦いがありました。
暴飲暴食や過酷なツアー生活も重なり、ヘモグロビンA1cの数値が一時危険水域に達するなど糖尿病が悪化。合併症により腎機能が著しく低下し、2017年には急性冠症候群を発症して心臓のバイパス手術を受ける事態に陥りました。さらにその後、軽度の脳梗塞を発症するなど、度重なる健康危機に見舞われます。
末期腎不全に陥り人工透析が不可避となった南部さんを救ったのが、18歳年下の妻・由紀さんによる生体腎移植の決断でした。2019年5月に行われた移植手術は見事に成功。当時、南部さんは記者会見や手記の中で「妻には頭が上がらない。命をもらったからには、ステージに立ち続けることが恩返し」と涙ながらに感謝を語っていました。夫婦二人三脚で病魔と闘い、過激な芸を続けるための肉体を維持していた背景には、揺るぎない家族の絆が存在していたのです。