この特異な言葉のルーツを辿ると、日本のポップカルチャーとネット文化が交差する歴史的地点に行き着く。元祖はギャグ漫画の巨匠・赤塚不二夫による金字塔『おそ松くん』だ。これを原案とし、株式会社ぴえろが制作を手掛けたアニメ作品『おそ松さん』の空前の大ヒットが、すべての引き金となった。
2010年代半ば、同作の熱狂的なファン層がSNS上で自作の体験談や二次創作的エピソードを頻繁に投稿し始めた。その一部に極端な脚色や妄想が目立ったことから、ファンアイコンを掲げたアカウントの嘘投稿を揶揄する言葉として誕生したのが始まりである。元来は限られたコミュニティ内の符牒に過ぎなかった。
しかし、言葉の伝播力はコミュニティの枠を容易に飛び越えた。時を経るにつれ、アニメの文脈を離れ、ネット上のあらゆる「虚飾された自己アピール」や「捏造エピソード」を指す代表的なインターネットスラングへと急速に拡大していったのである。