火のない所に煙は立たないと言われるように、この悪質な噂が生まれた背景には、2000年秋に世間を騒がせた実際の週刊誌報道が存在します。
当時、オリックス・ブルーウェーブからポスティングシステムを利用してシアトル・マリナーズへの移籍交渉を進めていたイチローに対し、『写真週刊誌フライデー』および『週刊文春』が相次いで女性問題を報じました。内容は、オリックス時代の1999年夏頃まで、都内在住の既婚女性と親密な関係にあったというものです。
女性側が関係を公表しようとしたことに対し、金銭的なトラブルへ発展したと報じられ、イチロー自身も当時の記者会見で「軽率な行動だった」と関係を認めて謝罪する事態となりました。結婚直前の時期と重なっていたこともあり、世間に大きな衝撃を与えた出来事です。
この報道において、「女性との間に子供ができた」という事実は一切ありませんでした。しかし、インターネットの掲示板や黎明期のブログなどを通じて情報が伝言ゲームのように拡散する過程で、以下のような致命的な情報の変質が起きました。
- 2000年の「愛人・金銭トラブル報道」という衝撃的な記憶の定着
- 弓子夫人との間に長年「子供が誕生しない」という観察事実
- ネット上のまとめサイトによる「女性問題=隠し子発覚?」という扇情的な釣り見出しの氾濫
このように、過去の過ちとしての女性問題が、夫婦間に子供がいないという現実と強引に結びつけられた結果、「裏に隠し子がいるのではないか」という都市伝説的なデマが定着してしまったのです。