島桂次という人物の評価は、今なお激しく分かれています。強権的なトップダウン人事やワンマン経営は局内で「独裁」と恐れられ、反発する幹部を容赦なく遠ざける手法には強い批判がつきまといました。官僚化していたNHKの組織風土に強烈なメスを入れる一方、独走を許す周囲のチェック機能不全が最終的な自滅を招いたとも言えます。
その一方で、現場の記者たちからは「決断が速く、いざという時に部下を守る度量があった」と慕う声も少なくありませんでした。政治家への忖度が問題視されがちな放送局において、時の権力者と対等に渡り合い、局の利益と報道の独立を勝ち取るタフな交渉力は唯一無二でした。
毀誉褒貶相半ばするそのキャラクターは、清濁併せ呑む昭和の傑物そのものであり、組織の枠に収まりきらない巨大なエネルギーを持った指導者でした。