直売所に足を踏み入れた瞬間、季節ごとの甘い香りが鼻腔をくすぐる。初夏の紅秀峰や佐藤錦、秋から冬にかけての完熟リンゴ「ふじ」「あかね」、そして大粒のシャインマスカット。横手盆地特有の激しい寒暖差が育んだ果実は、都市部の高級スーパーですらなかなか見られないほどの瑞々しさを誇る。
棚に並ぶ農産物には、一つひとつ生産者の名前が太字で印字されている。「昨日収穫したものしか並べない」という徹底した現場主義。午後には人気の果物が売り切れてしまうことも珍しくない。価格の安さにも驚かされるが、それ以上に「いま一番美味いもの」がストレートに伝わるディスプレイの熱量が、訪れる買い物客の心を掴んで離さないのだ。