このパイのルーツを辿ると、大西洋を渡った歴史の深淵に行き当たる。発祥は、アメリカ南部料理(ソウルフード)の伝統だ。18〜19世紀、過酷な労働環境に置かれたアフリカ系アメリカ人の料理人たちが、故郷アフリカの主食であるヤム芋の代わりに手に入りやすかったサツマイモを用い、独自の知恵と愛情で焼き上げたのが始まりとされている。
その価値をアメリカ全土、そして世界へ知らしめたのが、伝説的な料理人エドナ・ルイスだ。彼女は南部の大地が育む豊かな恵みと誇りを一冊の料理本に込め、素朴な家庭料理を芸術の域へと押し上げた。映画『ソウルフード(1997年映画)』でも、家族の絆を繋ぎとめる象徴的な皿として登場する。さらに、世界的な反響を呼んだNetflixのドキュメンタリー番組『シェフのテーブル(Netflixドキュメンタリー)』をはじめ、数々のNetflix作品でもその精神的背景が描かれ、食文化遺産としての評価が世界的に定着した。