「1カ所に10万人が押し寄せる時代は終わった」。大津市内の会議室で、実行委員会の主要メンバーは静かに、しかし力強く語り始めた。かつてのびわ湖大花火大会をはじめとする大型花火大会は、感動を与える一方で、最寄り駅の入場規制や周辺道路の完全麻痺という深刻な副作用を抱えていた。観客の安全を守りつつ、地域の魅力を最大限に引き出すにはどうすればいいのか。導き出した答えが、3市による完全同時打ち上げだった。
大津・草津・守山の3市は、それぞれ異なる景観と歴史的背景を持つ。大津の都市的な夜景、草津の開けた湖岸、守山の自然豊かなロケーション。これら3拠点で同時に花火を打ち上げることで、観客の滞留ポイントを物理的に分散させる狙いがある。単なるイベントの共催にとどまらない、広域都市戦略としての側面がここにはある。