この作品が不朽の名作と称される最大の理由は、間違いなく古美門研介が放った数々の「劇薬」のような言葉たちだ。彼は従来の熱血弁護士とは対極に位置し、「正義などという概念は自己満足に過ぎない」「勝たなければ意味がない」と言い放つ。
中でも今なお語り継がれるのが、第2シーズン最終盤における老人村の公害訴訟シーンだ。絆や心温まる村の団結を謳う住民たちに対し、古美門は冷徹かつ容赦ない口調で「人間は醜く、欲望にままみれた存在だ」と突き放し、現実の甘さを徹底的に叩きのめした。あの数分間に及ぶ堺雅人の圧倒的な長台詞と超高速演説は、NGを一切出さずに完璧に演じ切られたという伝説的なエピソードが残っている。
一見すると冷血漢に見える古美門だが、彼が徹底的に「法」と「手続」を守り抜く姿勢こそが、結果として依頼人の現実的な救済につながる。この矛盾とリアリズムの皮肉こそが、古沢良太脚本の真骨頂であり、視聴者の脳裏に深く刻み込まれた名シーンの背景にあるのだ。