「寿司を描くとき、最も難しいのは米粒の隙間と光の反射です」
都内を拠点に活躍するイラストレーターの佐藤氏はそう明かす。写真と異なり、イラストは要素の引き算と強調が思いのままだ。ネタの表面を走る油分のツヤをひとすじ入れるだけで、絵は途端に生気を帯びる。逆にシャリの描き込みが均一すぎると、どこかプラスチックのような無機質さが漂ってしまう。
プロの現場では、ネタとシャリの境目に落ちる影や、醤油が垂れた瞬間の表面張力まで正確に計算されている。この細部への徹底したこだわりこそが、見る者の食欲を直接刺激する「シズル感」の正体だ。