日本の象徴である富士山。だが地球科学の冷徹な視点に立てば、1707年の宝永噴火以来、300年以上にわたって沈黙を守り続けている「極めて危険なスタンバイ状態」にある。京都大学名誉教授の地球科学者・鎌田浩毅氏は、南海トラフ巨大地震の発生サイクルと富士山をはじめとする火山活動の連動性について警鐘を鳴らし続けてきた。
超巨大地震によって列島規模の地殻応力バランスが急変すれば、マグマだまり内の発泡が促され、噴火のトリガーが引かれる可能性が高まる。首都圏から約100キロメートルしか離れていない富士山が噴火した場合、溶岩流にとどまらず、数センチメートルから数十センチメートルに及ぶ火山灰が関東全域を覆う。交通網の寸断、大規模停電、浄水場の機能停止など、都市機能の壊滅は国家機能の麻痺に直結する。