阿部慎之助のマネーヒストリーを振り返る際、現役時代に到達した「6億円」という金字塔を外すことはできない。捕手として前人未到の領域を切り拓いた2012年の三冠王争いとMVP獲得を経て、NPB年俸査定の歴史を塗り替えた。守備の要でありながら打線の主軸を担うキャッチャーへの対価として、球団は当時の球界最高峰となる報酬を惜しみなく投じた。
現役晩年の減額制限を超えるダウン提示も受け入れ、引退、そして二軍監督やヘッドコーチを経て指導者としてのステップを一段ずつ登った。選手時代の累積年俸は50億円をゆうに超える。その巨万の富を築いた経験があるからこそ、監督就任後の年俸交渉においても金銭への執着ではなく、「勝てるチーム作りへの権限とリソース配分」を最優先事項としてフロントと渡り合える強みがある。