大西洋の対岸でも力学の変容は止まらない。アメリカではドナルド・トランプが掲げる「アメリカ・ファースト」の熱狂が冷めることなく、MAGA運動は共和党の骨格そのものを変異させた。司法やメディアへの不信を煽り、グローバリズムからの完全な脱却を叫ぶ手法は、世界の右派ポピュリストにとっての標準戦術となった。
対照的なのが、イタリアの首相ジョルジャ・メローニが見せる現実的なプラグマティズムだ。国内では強硬な伝統的家族観や移民抑制を打ち出しつつ、対外的にはNATO協調や財政規律を維持することで、国際社会からの警戒感を巧みに中和している。「体制内化する極右」と「体制破壊を目指す極右」。二つの潮流が大西洋を挟んで共鳴し合い、新たな国際秩序の軸を形成しつつある。