田中邦衛の代名詞となったフジテレビの不朽の名作『北の国から』。脚本家・倉本聰が「田中邦衛以外にこの役はあり得ない」と熱望して生まれた黒板五郎役だが、当初の田中本人は過酷な長期ロケと主人公という重責に激しく苦悩していた。
氷点下数十度の富良野で数ヶ月に及ぶ過酷な撮影が続く中、東京の自宅から精神的な支柱となり続けたのが康子さんだった。「あなたらしく、そのままぶつかればいいのよ」。迷いの中にいた夫の背中を静かに押したその一言が、五郎という伝説のキャラクターに命を吹き込む決定打となる。名作の裏側には、常に夫婦の阿吽の呼吸と深い信頼が存在していた。