磯野貴理子の生還劇は、単なる美談にとどまらない。日本脳卒中学会などの専門機関が広く啓発している「FAST(顔・腕・言葉・時間)」の重要性を、身をもって社会に示す契機となった。顔の片側が下がる(Face)、片腕に力が入らない(Arm)、言葉がうまく話せない(Speech)、そしてそれらの症状が出たら発症時刻を確認して即座に119番通報する(Time)。
脳梗塞は、発症から4.5時間以内であれば血栓を溶かすt-PA治療が適応となる可能性が高い。磯野貴理子のケースでは、まさにこの「Time」が守られたことが良好な回復につながった。「自分は大丈夫」という根拠のない過信を捨て、些細な異変を見逃さない姿勢こそが、自分自身や大切な人の命を救う決定打になる。