かつて日本精神神経学会などのアカデミズムと出版業界の狭間で独自のポジションを築いてきた彼のテキストは、デジタル空間において再び脚光を浴びている。noteでの発信やAmazon Kindleによる過去作の電子化を通じて、リアルタイムの世代だけでなく、息苦しさを抱える若い読者層の間で急速に再発見が進んでいるのだ。
SNSのタイムラインに流れる安易な自己啓発やポジティブ思考に辟易した人々が、彼の書く「割り切れなさ」に救いを求めている。白黒つけられないグレーゾーンをそのまま抱えて生きるための知恵が、デジタルデバイスを通じて新たな読者へと浸透している現状は、出版業界にとっても極めて示唆に富む現象と言えるだろう。