若山詩音の演技の根底には、幼少期から所属していた『劇団ひまわり』での過酷かつ緻密なレッスンがある。声優という枠組みにとらわれる以前に、身体全体を使って感情を表現するストレートプレイの現場で鍛え上げられた基礎力。これが現在の彼女の揺るぎない土台となっている。
その実力がアニメ界で決定的な注目を浴びたのが、長井龍雪監督による劇場アニメ『空の青さを知る人よ』の相生あおい役だ。思春期特有の苛立ち、不器用なプライド、そして胸の奥底に秘めた情熱を、飾らないハスキーなトーンで見事に演じきった。オーディションで抜擢された当時、彼女が見せた泥臭いまでのリアリズムは、すでに並の新人声優の域を遥かに凌駕していた。