2003年3月、日本中に激震が走った突然の訃報。だが、遺された家族を待ち受けていたのは、悲嘆に暮れる時間すら許されない容赦のない現実だった。古尾谷雅人が遺した約3億円とも言われる莫大な借金。自宅の差し押さえ、鳴り止まない督促の電話。一家の生活は瞬く間に困窮を極めた。
母であり元女優の鹿沼えりが後に著書や手記で明かした真実は、世間を驚愕させた。家庭内での壮絶な葛藤、酒に溺れて荒れる父の姿、そして家族が耐え忍んできた精神的な摩擦。長男であった息子もまた、思春期の真っ只中で家庭の崩壊と父の死という二重の激震に直面した。父を愛しながらも憎み、憎みながらもその才能を尊敬せざるを得ないという引き裂かれるような感情。その知られざる葛藤を抱えながら、家族を支えるために懸命に汗を流す日々が続いた。