部屋の改革がもたらした最大の果実が、大関・琴櫻将傑の目覚ましい飛躍だ。祖父である先代師匠の偉大な四股名を受け継いだ若き看板力士は、重圧を力へと変え、堂々たる相撲で土俵を席巻している。
父と子であり、師匠と弟子。この複雑な関係性は、時にプレッシャーを生む要因にもなりかねない。しかし、佐渡ヶ嶽親方は琴櫻に対して特別扱いを一切せず、土俵の外では温かく見守りながらも、稽古場では誰よりも厳しい基準を課してきた。琴櫻将傑が土俵で見せる粘り腰と冷静沈着な取り口は、日々の科学的なフィジカルトレーニングと、師匠から叩き込まれた相撲の基礎技術が見事に融合した結果にほかならない。
看板力士の躍進は、部屋全体の若手力士たちにも強烈な刺激を与えている。「次は自分たちの番だ」というポジティブな連鎖が、佐渡ヶ嶽部屋の底上げを力強く後押ししているのだ。