本作を語る上で絶対に外せないのが、稀代の悪役チャ・ミンホを演じたオム・ギジュンの怪演だ。富と権力を盾に殺人を重ね、自分を追い詰める者を冷酷に排除していく狂気。それでいて、どこか父親からの愛に飢えた壊れた魂の持ち主でもある複雑なキャラクターを、薄笑いと冷徹な眼差しで見事に成立させた。
この緊迫した復讐劇において、唯一の光として機能したのが国選弁護人ソ・ウネを演じたクォン・ユリだ。誰もがジョンウを凶悪犯と見なす中、彼の無実を信じて奔走する若き弁護士のひたむきさは、重苦しいサスペンスの中で確かな救いとなっていた。彼女の真っ直ぐな演技が、男性陣の血気迫る演技バトルに絶妙な緩急と温かみをもたらしている。