人は昔から、自分たちが生きる時代よりも過去を「より野蛮で残酷だった」と思いたい欲求を抱いている。
19世紀のロンドンやパリで大流行した「拷問博物館」。産業革命によって都市に流れ込んだ人々は、安全な劇場の中で昔の野蛮さを眺め、安堵感とスリルを買っていた。
そこに登場したのが、ビジュアル的にあまりにもインパクトの強い鉄の梨だった。視覚的なおどろおどろしさと、「ネジを回せば内部が裂ける」という想像力を掻き立てるストーリー。この2つが合体した時、完璧な都市伝説が完成したのだ。
SNSやネット動画が普及した21世紀においても、そのショッキングなビジュアルはアルゴリズムに乗りやすく、世界中に拡散され続けた。