氷上のコスチュームは決して自由奔放に作られているわけではない。競技を統括する国際スケート連盟(ISU)のルールブックには、衣装に関する厳密なガイドラインが存在する。品位を欠く過度な露出や、過剰に劇場的・扇情的な装飾は明確に禁じられており、審判員が「不適切」と判断すればディダクション(減点)の対象となる。
肌色に見えるタイツやメッシュ素材は、一見すると大胆なカッティングに見える。しかし、その大半はアスリートの筋肉をホールドし、激しいステップやジャンプでも衣装が乱れないよう設計された高度な機能性素材だ。肌を見せることそのものが目的ではなく、身体のラインとエッジの軌道を際立たせるための視覚的トリックに過ぎない。美とルールの限界線上を攻めるデザイナーたちのミリ単位の攻防が、観る者に息を呑むようなスリルを与えている。