1945年8月15日、昭和天皇による玉音放送が流れ、戦争は終わったはずだった。しかし、満州の地は違った。日ソ中立条約を一方的に破棄して侵攻してきたソ連軍は、狂暴な勢いで南下を続けていた。関東軍の主力はすでに撤退し、残されたのは無力な日本の開拓民や婦女子ばかり。彼らを待ち受けていたのは、略奪と暴行の嵐だった。
「このままでは全員が蹂躙される」。大安飛行場に残された若き操縦士たちに、選択肢は残されていなかった。公式な戦闘行動は禁止されていたはずだ。だが、目の前で同胞が蹂躙されるのを黙って見ていられるわけがない。彼らは自主的な「特攻」を決意する。その中に、谷藤徹三少尉の姿があった。