鈴木を語る上で、2018年に逝去した孤高の天才・高畑勲の存在を避けて通ることはできない。徳間書店のアニメ雑誌『アニメージュ』の編集者時代に出会って以来、鈴木は宮﨑駿の直観と、高畑勲の冷徹な知性という二大巨頭の衝突を間近で調停し続けてきた。
「高畑さんは僕にとって最大の教師であり、もっとも恐ろしい怪物だった。あの人と向き合ってきたから、どんな難題が来ても驚かなくなった」
妥協を許さず制作期間を際限なく引き延ばす高畑と、疾走する宮﨑。二人の巨匠の間で鍛え上げられた人間観察眼と交渉術が、現在の鈴木の骨格を作った。高畑が遺したリアリズムへの執着は、今もスタジオの血肉として生きている。