現在、この街の勢力図は大きく二分されている。口に含んだ瞬間にとろりと広がる重厚な「濃厚豚骨」と、澄み切った琥珀色のスープに幾重もの出汁が重なる「極上醤油」だ。
かつてラーメン王・石神秀幸氏が提唱したスープの重層性とバランスの理論は、栄町の現代の名店群にも色濃く受け継がれている。株式会社カカクコムが運営する『食べログ』の高評価店や『ラーメンデータベース』の上位ランカーを紐解くと、点数だけでは測りきれない職人の技術的冒険が見て取れる。
豚骨派の代表格は、ゲンコツと頭骨を極限まで炊き出し、臭みを完璧に抑え込みながらも爆発的なコクを実現した一杯。一方の醤油派は、全国から厳選した生揚げ醤油に地鶏と乾物の旨味を重ね、ひと口ごとに表情を変える立体的な味わいを構築している。『ラーメンWalker』のグランプリ受賞歴を持つ実力店から、メディア露出を一切拒む頑固一徹の老舗まで、どちらを選んでも後悔の余地はない。