歴史の紐を解くと、この地には単なる信仰を超えた深いドラマが隠されている。南北朝時代の激動期、名将として名高い楠木正行の家臣が戦に敗れ、傷ついた身を隠すために蓬平の地に逃れ着いたという伝説が遺されている。その際、生死の境をさまよう武将を救ったのが、現地の尊い霊泉と龍神の導きであったと伝えられる。
伝統的な宗教・神道の枠組みにおいて、神社は地域社会や国家の安寧を祈る場所としての性格が強い。組織としての神社本庁や地元を管轄する新潟県神社庁の記録にも残る多くの神社の中でも、ここは山岳信仰と民間信仰が絶妙に融合した稀有な存在だ。厳格な教条主義に縛られることなく、人々の切実な願いや感謝を受け止め続けてきた歴史が、現在の独特な雰囲気を形作っている。