ノミネーション段階から10部門11ノミネートと独走状態だった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(通称『エブエブ』)が、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞の主要7部門を総なめにした。下馬評の高さをそのまま圧倒的な勝鬨へと変えた完璧な勝利である。
税金の申告に追われるしがないコインランドリーの経営者が、マルチバースを行き来してカンフーで世界を救う。そんな奇想天外極まりないSFコメディ映画が最高峰の作品賞を射止めた事実は、映画界の歴史における決定的な転換点となった。従来のオスカー好みな重厚長大さとは一線を画すテンポと映像表現、そして根底に流れる家族の愛と受容の物語が、保守的な投票者たちの心を完全に鷲掴みにした。
授賞式の幕が下りた瞬間、映画界の新たな時代の幕開けを誰もが確信した。主要部門における受賞結果一覧は以下の通りである。
・作品賞:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
・監督賞:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(『エブエブ』)
・主演女優賞:ミシェル・ヨー(『エブエブ』)
・主演男優賞:ブレンダン・フレイザー(『ザ・ホエール』)
・助演男優賞:キー・ホイ・クァン(『エブエブ』)
・助演女優賞:ジェイミー・リー・カーティス(『エブエブ』)
・国際長編映画賞:『西部戦線異状なし』
・脚本賞:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(『エブエブ』)
・脚色賞:サラ・ポーリー(『ウーマン・トーキング 私たちの選択』)
・長編アニメーション賞:『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』