三田の学び舎に足を踏み入れると、校則による縛りの少なさに驚かされる。校舎内を行き交う生徒たちの瞳には、自らの判断で行動する気概が宿る。福澤諭吉が唱えた「独立自尊」の哲学は、スローガンではなく学校生活の隅々にまで浸透しているのだ。制服の着こなしから行事の企画運営に至るまで、大人が手出しをすることは極めて少ない。
「自由には責任が伴う」。教員が生徒に投げかけるこの言葉は、自主性を尊重する裏返しとしての厳しさを持つ。誰かに指示されるのを待つ生徒は一人もいない。自ら課題を見つけ、議論し、解決へと導く。この自治の精神こそが、生徒たちを単なる受験秀才から真のリーダーへと脱皮させる土壌となっている。